学生コラム / Student Column
うなぎのたれで、
ご飯が食べられる
2026年9月 食物栄養学科 学生ライター
「うなぎのたれがないと、ご飯がなかなか進まないんです」
実習先の高齢者施設で、学生が教えてもらった利用者さんのエピソードです。冷蔵庫には好みのたれが用意され、食事の時間になると自分でご飯にかけていました。
たれがないと、ご飯をほとんど残してしまう。しかし、好きなたれがあれば食べられる量が増える。
そこで施設では、塩分だけを見て禁止するのではなく、食事全体の摂取量や本人の楽しみも考えながら対応していました。
管理するだけではなく、暮らしを見る
病院の食事には、治療を支えるという明確な役割があります。一方、生活の場である高齢者施設では、長年の習慣や好みもその人の大切な一部です。
実習先では、食事の摂取量が一日だけ少ないからとすぐに判断するのではなく、普段よく食べていた人の摂取量が数日続けて落ちていないかなど、変化を見ていました。
学生が印象に残ったと話したのは、食事を残した理由を数字だけで決めつけないことでした。
食事前に好物を食べたのかもしれない。体調がいつもと違うのかもしれない。本人の部屋や生活の様子も確認し、介護職など他職種から情報を集めて考えます。
食べる楽しみと、必要な栄養をどう両立するか
もちろん、好きなものなら何でもよいという意味ではありません。病気や飲み込みの状態、安全性への配慮は欠かせません。
そのうえで、何をどのくらいなら楽しめるのか、食事全体でどのように補うのかを考える。そこに管理栄養士の専門性があります。
学生は、施設によって栄養管理の重点が異なることに驚いたといいます。数値を厳密に整える場面もあれば、本人の満足や生活の質を優先して考える場面もある。
教室で学んだ「個別対応」という言葉が、一人の利用者さんの食べ方として見えた実習でした。
編集後記
管理栄養士は、食べてはいけないものを伝える人だと思われることがあります。
でも実習で見えたのは、「どうすればこの人が食べられるか」を一緒に探す姿でした。うなぎのたれという小さな工夫から、食事が栄養であると同時に、暮らしそのものでもあることを学びました。